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アルハンブラを目指して

グラナダ

前日の夜スペインの南、アンダルシア地方を代表するグラナダに到着。ダロ川沿いのアルバイシン地区を少し登った場所にあるホテルに泊まった私はこの旅のメインディッシュアルハンブラに行くことにしました。ダロ川のすぐ向こう側の高台にアルハンブラの一部が見えていたのでとても近くにあるように感じます。わくわくしながらまずは目印であるヌエバ広場を目指し、7分ぐらいで広場に到着。そこから左手にあるゴメレスの坂を上ります。この坂を少し上れば門が見えてくる様です。このゴメレスの坂の両脇には土産物屋が軒を並べています。ストールや帽子、ポストカードからフラメンコの衣装までラインナップは観光地らしいものばかり。

お土産や落書きだらけのシャッターを見ながら坂道を歩きます。少々急で意外と長い坂。そうこうしている内に「グラナダスの門」にたどり着きました。門を入ってすぐに道が二手に分かれており(と言っても目指す方向は同じようですが)向かって左手の土の道を歩きます。この道の両脇には木々が立ち並び鬱蒼としていますがほどよく太陽の光も落ちてきてとても気持ちが良い。しばらく行くと馬蹄形をした「裁きの門」が出てきました。かつてこの門を潜ったところで裁判が行われていた為こう呼ばれています。

(ゴメレスの坂)

  (裁きの門)

しかしなかなか現代の入口に到着しないのでこの辺りで座って少し休憩を取る事にしました。10分ほど休憩を取った後また坂道を上り15分くらい歩いたでしょうか、ようやく入口のチケット売り場に到着しました。チケット売り場には結構長い列ができていましたが意外にスムーズに買うことが出来きました。

◇アルハンブラという場所◇

アルハンブラというとイコール宮殿というイメージを持っていたのですがよくよく説明を見てみると違いました。アルハンブラの発祥の元となったのが宮殿のすぐ横にあるアルカサバ(要塞)だったのです。この城塞はローマ時代から元があったのではと考えられており、宮殿が出来たのはそれからだいぶ後の時代の十四世紀に入ってから。またその頃に城壁も造られました。アルハンブラの東側はメディナと呼ばれており豪族や職人、一般市民の居住区でした。その為この城壁の中にはハマム(浴場)やスーク(市場)などが設けられていました。アルハンブラとはいわゆるひとつの町だったのです。

◇いよいよ中へ◇

まずメディナから見学します。かつて敵から町を守るため空堀があったようですがそこは現在綺麗に埋め立てられていて歩きやすい道になっている。そしてかつてのメディナは庭の様に草木が植えられとても整っていました。この辺りはごく最近手を加えたのでしょう。糸杉の道もありました。印象はすごく整った現代風の庭といった感じでしょうか。パラドールもこの敷地内にありました。

(敷地内のパラドール) 

  (手入れされた道)

しばらく行くと豪族が屋敷を構えていたとされる跡を発見。想像を膨らます…すごく広い。どんなお屋敷がここにあったのでしょうか。そんなことを考えながら歩いていくと道全体が左に折れ曲がっています。地図によるともう少しでメインのナスル朝宮殿がある様です。

◇悠久のナスル朝宮殿へ◇

無事にナスル朝宮殿に到着。事前に予約しておいたチケットで入場します。玄関がとても素敵な造り、グリーンの屋根がとても爽やか。そこを潜り抜けると早速素敵な場所が! 「メスアールの間」です。ここは王宮の執務室として使われており裁判などが行われていました。モザイクタイルがとても綺麗でしばし見とれてしまいます。色あせているのがオリジナルタイルで今も少し残っている様ですが見つけることが出来きませんでした。残念。
「コマレスのファサード」を通り抜け「アラヤネスの中庭」にでました。ここからではなく向こう側に行きコマレスの塔をカメラに収めるのがおすすめ。条件が良ければ水面に映る塔がきれいに撮れますよ。

(入場してすぐの天井)

   (アラヤネスの中庭)

そしてそのまま「バラカの間」へ行きそこで見上げれば細長い天井に見事な木像嵌細工。この「バラカの間」は天井が舟の形に似ていることからスペイン語で小舟を意味するバラカと呼ばれている解釈が一般的ですがアラビア語で霊力を意味するバラカからきているという説もあります。王がアッラーから霊力を授かるようにこの部屋で儀式を行ったのではないかともされているのです。さてその奥に進んでみます。ここは「大使の間」と呼ばれている場所で使節の謁見など重要な儀式が執り行われていた場所。こちらも天井には木像嵌細工がびっしりと施されており、しばしその技術に圧倒されます。イスラム教は偶像崇拝を禁止しているのでこういった建築物などに使われる装飾は植物やアラビア文字、そしてアラベスクなどの幾何学模様となります。これがまた素晴らしく人間業とは思えないのです。

「ライオンの中庭」へと歩みを進めます。ここは王の居住空間であり、それぞれの部屋の水路はここへ繋がっています。中央のライオンはかつて黄金色をしていた様です。中庭を囲む柱が規則正しく並びさらにこの空間を特別なものにしていました。続いて「アベンセラッヘの間」へ。この場所の天井は鍾乳石で出来ておりその緻密さにまたまた圧倒されます。

(ライオンの中庭)

  (アベンセラッヘの間)

最後に「二姉妹の間」へと進みます。ここも天井は鍾乳石で出来ています。曲面と曲面が組み合わさりこの緻密な装飾を生み出しているのですね。これも人間業とは思えません。そしてあともう一つ、ここには18世紀からのステンドグラスも残されているのです。

「二姉妹の間」を抜けると回廊があり北側にダロ川を隔てて「アルバイシン地区」を見ることが出来ます。ここがまた風が颯爽と通り抜けて気持ちがいい場所なのです。

(北の回廊から見たアルバイシン) 

  (アルカサバから見る夕暮れ)

◇最後に◇

写真を載せてはいますがやはり現地に行って頂いてこの雰囲気を味わって頂きたいと感じます。ここでは紹介しきれませんでしたがナスル朝宮殿のすぐ隣にあるアルカサバは見ものです。夜警の塔に上るとグラナダの町が一望できます。私は夕暮れの時間帯に行きましたが…最高でした。アルバイシンの白い家々の壁が夕日に染まり行く。その光景はとても印象的で今でも目に焼き付いています。その他グラナダのバルでは飲み物を注文するとおつまみがただでついてくるのです。私が注文したお店ではハムとチーズが挟まったパン1個とポテトチップス、オリーブの酢漬け(ガーリック風味)を出してくれたのです。これは嬉しい…!これだけで晩御飯を賄えます。またお土産物屋では前述で紹介したストールやポストカードのほかにトルコランプや水タバコまで売られていました。グラナダはエキゾチックで不思議でとても楽しい場所でした。もしみなさまがこの文章を見てグラナダを次の旅行の候補に入れて頂けたのならとても嬉しく思います。

<ライター>K-Haruka*
<コメント>大きな旅には出れないけれど小さな旅を重ねて世界の風景を写真に収めています。秒単位で展開する その物語が少しでも記憶に留まる様に
< H P >http://chiitabi.web.fc2.com/

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