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マカオ最古の寺院と街に残るポルトガルの風を求めて

マカオ

5月初旬、私は香港からフェリーで約一時間のマカオへと向かいました。マカオはごく最近の1999年までポルトガルの植民地だった地域であり今でもその面影が街の至る所に残っています。カジノやホテルのきらびやかなネオンも然ることながら植民地時代の面影を残したコロニアル様式の建築物や教会は一際目に留まります。そんなマカオは2005年「マカオ歴史地区」として歴史ある建築物群がユネスコ世界遺産(文化遺産)として登録されました。今回はその一部、媽閣廟(マッコウミュウ)からセナド広場を抜け聖ポール天主堂まで歩いて旅してきました。マカオ歴史地区、その中でも特に印象強かった場所について綴ります。

◇マカオ最古で最大の寺院、媽閣廟へ◇

私は今回の旅をマカオ島の南西に位置する「媽閣廟」から始めることにし、まずタクシーでその場所まで移動しました。10分ほどで目的に到着しその地に降り立てば、その瞬間から懐かしい香りが私を包みます。

マカオ

ここはマカオ最古で最大の寺院でポルトガル人が中国で最初に上陸した場所という説があります。またそのポルトガル人が現地住民に地名を聞いたところ「マーコウ」と答えた為それがポルトガル人によってMacauと訳されたそうな。それからというものここはマカオと呼ばれ現在に至ります。さてこの場所は海の神様を祀っている場所であります。境内に入ると大きなジャンク船が描かれている岩がずっしりと腰を据えております。ちゃんと海での安全を守ってくれそうですね。境内は山の斜面を登るような形で階段がありそれを上って4つのお堂を巡ります。天からは三角錐に巻かれた線香が吊り下げられていました。そう、これが懐かしい香りの正体。お堂を巡り私も海の安全を祈願したところで次の場所を目指します。

(ジャンク船が描かれた岩)

  (祈る人と線香)

◇コロニアル様式の建物たち◇

媽閣廟を出てその前に広がるバラ広場を抜け、歩く事5~6分ほどするとコロニアル調の建物が見えてきました。「港務局大楼(ゴンモウゴッダイラウ)」と呼ばれているところでここは昔、治安を維持する為インドから派遣されてきたムーア人の寄宿舎として使われていたそうです。基礎はレンガで出来ており、建物はクリーム色と白の漆喰の壁。とても可愛らしくお洒落です。
そこからまたしばらく行くと「鄭家屋敷(ジェンガーダイオッ)」が出てきました。かつてここは孫文や毛沢東に影響を与えた思想家鄭観応の屋敷でした。中に入ろうと思ったのですが私が観光したのは水曜日。その日は休館日でした。残念…。
その場所から坂道を上るとすぐに「リラウ広場」が出てきました。ポルトガル人が最初に定住したと言われる場所だけあってここの建物はコロニアル調の物が多かったです。

(港務局大楼)

  (リラウ広場周辺)

それからまた5~6分ほど歩きます。お待ちかねの教会が見えてきました。「聖ローレンス教会」です。ターコイズブルーの天井とクリーム色の壁が見事にマッチした華やかさのある教会でしばらく見入ってしまいました。

(聖ローレンス教会外観)

  (聖ローレンス教会の内部)

ここは1758年に造られた教会でイエズス会の布教の拠点の一つです。内部に入るとドームから降りてくる明かりが柔らかく、柱もひねりが入ったものでとても印象的。そして入って右側の祭壇にはあの有名なフランシスコザビエルの右肩から肘までの遺骨が保存されています。ザビエル氏自身は1552年に亡くなっていますからもう500年近くもこの世に残されていることになります。なんだか不思議ですね。因みに本体はインドのゴアに、右腕の肘から手までの部分はローマに残されているそうです。

(右側の祭壇にザビエルの遺骨がある)

  (豪華な中央祭壇)

「ドン・ペドロ劇場」、「ロバート・ホー・トン図書館」を横目に見ながらぐんぐん進み、「セナド広場」にやってきました。向かいには民政総署大楼(マンチンジョンチューダラウ)が建っています。この建物にはポルトガルを彷彿とさせる鮮やかなアズレージョタイルが今もなお残されています。

(波模様の石畳が美しいセナド広場)

  (アズレージョが鮮やかな民政総署大楼)

◇いよいよマカオのシンボルへ◇

そしてマカオと言えば言わずと知れたあの場所へ行かないことにはいきません。お待ちかねの「セントポール天主堂跡」です。堂々とここに鎮座していますが実は残っているのはファサードのみなのです。

1582年にイエズス会によって建てられたものですが1601年に火災に見舞われ一度は再建したものの1835年の二度目の火災により焼失。今日私たちが目にする姿はなんとか残った正面のみです。一時はアジア最大のカトリックの布教の拠点になった大聖堂なので、もし火事などに遭わず現在まで残っていれば…とても美しく壮大な大聖堂だったのでしょう。

(聖ポール天主堂の裏側)

  (天主堂横、モンテの砦より)

◇最後に◇

マカオ歴史地区はとにかく世界遺産に認定された建物が多いです。歩いて回るのは大変そうに思われますが大体の物は2km圏内に集中しております。その為、歩いて回っても苦になりません。寧ろ自分の足で歩く方が楽しいです。しかし現地を訪れてみて驚きました。どうしてもマカオって言われて先に来るイメージはカジノとか近代的なものでしたが、こうやって歩くと歴史を刻んできた建築物が実に多いのかと。今回紹介しきれませんでしたが漢字とコロニアル調の建築物が同じ場所にあるというこの不思議な街並み。私の中でまた時間を作って訪れたい場所となりました。

<ライター>K-Haruka*
<コメント>大きな旅には出れないけれど小さな旅を重ねて世界の風景を写真に収めています。秒単位で展開する その物語が少しでも記憶に留まる様に
< H P >http://chiitabi.web.fc2.com/

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